学芸員になるには?仕事内容や将来性,年収,就職状況など解説
資格の鎧

学芸員になるには?仕事内容や将来性,年収,就職状況など解説

ルーヴル美術館

博物館等で必置義務があります

学芸員とは博物館資料の収集、保管、展示、調査研究などについて専門的な仕事を行う必置義務のある国家資格です。

また学芸員補とは学芸員を補助する仕事で特別資格は必要ありません。

学芸員の特徴

この資格には試験を受けずに取得できることや必置資格であることと言った特徴があります。

学芸員の仕事内容

博物館

博物館に1名以上学芸員を配置する必要があります

博物館や美術館、動物園、水族館、植物園などに勤務し、資料の整理や保管、展示、教育普及、PR活動などを行います。

博物館法にて「博物館に専門的職員として学芸員を置く」と定められており、博物館や美術館などには最低1名以上学芸員を配置しなければならない必置義務があります。

学芸員を補助する仕事として学芸員補と呼ばれるものもありますが、こちらは先述通り大学に入学できる人間であれば誰でもなることができるため特別な資格は必要ありません。

使えない資格!?就職は難しい

落ち込む女の子

博物館学芸員の求人倍率は非常に高いです

学芸員になるルートは複数ありますが基本的には大学で必要な科目を履修し、単位を修得することで取得できると言う無試験で取得可能な資格です。

学芸員が必要とされる職場は求人倍率が非常に高く、資格取得者に対して学芸員として働いている方はかなり少ないです。

そのため「使えない資格」であると言う評価が下されることもしばしばあります。

学芸員資格を得ることはさほど難しいものではありませんが、博物館学芸員として働くことは非常に難しいものだと言うことはあらかじめ頭に入れておく必要があります。

年収は300万円前後

お金と電卓

平均より低めの水準です

学芸員として働くのは非常に難しいと言う状況の中、どうにか学芸員として就職できても年収は平均より下回ることが多く、高収入には期待できない職業と言えます。

ここまで紹介したように就職に強くなく年収にも期待できないと言う資格ですのであまりおすすめはできない資格ではありますが、現在学芸員として活躍していらっしゃる方は「それでも好きなことを仕事にしたい!」と言う気持ちで働いていらっしゃるのだと思います。

就職の強さ、年収、将来性などを考慮しても「それでもやりたい」と言う方でなければ厳しい職業と言えるでしょう。

他資格への影響

パソコンを見ている女性

社労士試験に影響します

学芸員資格認定試験合格者は社会保険労務士試験の受験資格を満たします。

学芸員資格を取得するには

大学で所定の科目の単位を修得する、学芸員資格認定に合格する、学芸員補として所定の条件を満たすことで学芸員資格を取得することができます。

大学で単位を修得して学芸員資格を取得

大学

博物館に関する科目の単位を修得

あらかじめ定められた国立大学・公立大学・私立大学・短大にて学士の学位を有し、博物館に関する科目の単位を修得することで学芸員資格を取得できます。

文部科学省のホームページに掲載されている大学は国立大学が57校、公立大学が20校、私立大学が214校、短大が9校で全部で300校になります(最終更新日は平成25年4月1日)。

博物館に関する科目と必要な単位は以下です。

  • 生涯学習概論(2単位)
  • 博物館概論(2単位)
  • 博物館経営論(2単位)
  • 博物館資料論(2単位)
  • 博物館資料保存論(2単位)
  • 博物館展示論(2単位)
  • 博物館教育論(2単位)
  • 博物館情報・メディア論(2単位)
  • 博物館実習(3単位)

学芸員資格認定に合格して学芸員資格を取得

試験勉強

2つの方法があります

学芸員資格認定は「試験認定」と「審査認定」の2種類あり、どちらも受験資格があります。

学芸員資格試験認定

試験認定の受験資格は以下になります。

  1. 学士の学位を有する者
  2. 大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得した者で二年以上学芸員補の職にあつた者
  3. 教育職員免許法第二条第一項に規定する教育職員の普通免許状を有し、二年以上教育職員の職にあつた者
  4. 四年以上学芸員補の職にあつた者
  5. その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者
出典:学芸員になるには:文部科学省

試験認定の受験者の数は多くないので合格率は安定していません。

平成28年度は出願者112人に対し合格者は60人でしたので合格率は53.57%になります。

試験に合格するとすぐに学芸員の資格を取得できるわけではなく一旦は「筆記試験合格者」と位置付けられ、その後1年間学芸員補の職の職務に従事することで試験認定合格者となります。

学芸員資格審査認定

審査認定の受験資格は以下になります。

1 学位規則による修士若しくは博士の学位又は専門職学位を有する者であつて、二年以上学芸員補の職にあつた者

2 大学において博物館に関する科目(生涯学習概論を除く。)に関し二年以上教授、准教授、助教又は講師の職にあつた者であつて、二年以上学芸員補の職にあつた者

3 次のいずれかに該当する者であつて、都道府県の教育委員会の推薦する者

  • 学士の学位を有する者であつて、四年以上学芸員補の職にあつた者
  • 大学に二年以上在学し、六十二単位以上を修得した者であつて、六年以上学芸員補の職にあつた者
  • 学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者であつて、八年以上学芸員補の職にあつた者
  • その他十一年以上学芸員補の職にあつた者

4 その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者

出典:学芸員になるには:文部科学省

審査認定は試験認定よりも受験資格を満たすために長い時間がかかるため受験者数は試験認定よりさらに少なく、試験認定同様に合格率は安定していません。

平成28年度は出願者数53人に対し合格者は26人でしたので合格率は49.06%となります。

学芸員補から学芸員資格を取得

博物館の職員

条件を満たせば資格を取得できます

大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上修得し、3年以上学芸員補として働くことで学芸員資格を取得することも可能になります。

まとめ

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いかがでしたか?

以上が学芸員または学芸員補に関する情報のまとめになります。

博物館の数に限りがあるため資格取得はさほど難しくなくても実際に勤務することが非常に難しくなってしまいます。

学芸員として活躍するには資格取得だけでなく大学院で勉強するなど様々な努力が必要になると言えます。